
前回は、自分の気持ちや意見を相手の気持ちも尊重しながら、誠実に率直にそして対等に表現するためのアサーティブコミュニケーションスキルをお伝えしました。
今回は、交渉や商談など、より難しい依頼事を相手に受け入れてもらうための「DESC法」をご紹介します。
「DESC法」はプレゼン手法でも使われている為、知っている方も多いかもしれませんね。
アサーティブに自分の意見を伝えるDESC法
DESC法とは、自分の意見や要望を相手に上手く伝えるアサーティブコミュニケーションスキルの一つです。
まず、DESC法では自分が伝えたいことを以下の4ステップで考えます。
DESC法
D(Describe)・・・事実を客観的に表現する
E(Explain)・・・自分の気持ちを率直に説明する(Iメッセージ)
S(Specify)・・・どのようにして欲しいか、具体的な提案をする
C(Choose)・・・(相手がYESの場合)肯定的な結果を示す(相手がNOの場合)代替案を示す
1つ例を挙げてみましょう。
例:上司から急なスケジュールで案件を頼まれた。
D(Describe)
→「今、別の案件の作業をしています」
E(Explain)
→「ご協力したいところですが、残念ながら、その締め切りに間に合わせるのは厳しい状況です」
S(Specify)
→「締め切りを1日伸ばしていただければ、お受けできそうですがいかがでしょうか?」
C(Choose)
→(相手がYESの場合)「それであればご希望の提案まで盛り込んで作成ができそうです」
(相手がNOの場合)「厳しいようでしたら、データ整理までの作成となりますがよろしいですか?」
いかがでしょうか?
まずは、自分の今の状況(事実)を伝えます。【D】
次に、「I」メッセージと、クッション言葉を活用し自分の気持ちを伝えます。【E】
そして、相手にしてほしい提案を述べます。【S】
最後に、相手がその提案にYESといった場合受け入れてくれたメリットを、NOといった場合には、代替え案を提案します。【C】
ここでのポイントは、最後の「C」です。
相手の答えがYESの場合、NOの場合と2択を提示すること。
アサーションは、相手にも選ぶ権利があるんですね。
選択肢を提示するので、相手も選びやすく、スムーズに返事をすることができます。
なんたって2択ですからね(笑)
DESC法に当てはめながら交渉を進めると、自分も相手も尊重しながら、お互い納得した結論に着地することができます。
とても建設的な会話が出来そうですよね。

ノンバーバルとアサーティブコミュニケーション
最後にもう一点。
アサーティブな態度を示すには、上記でご紹介した言葉の他に、非言語の表現も大切になってきます。
例えば、主張がしっかりした内容でも、声が小さかったり、怒ったような表情では相手も受け入れにくくなってしまいますよね。
・声の大きさ=小さい→自信がないように見える/大きすぎる→攻撃的に聞こえる
・トーン=真剣な内容の時はやや低めにゆっくりと話す
・表情=ヘラヘラニコニコでは真剣さが伝わらない。真剣な内容の時は真剣な表情で。笑顔とのメリハリをつける
・手のしぐさ=ぶらぶらしたり、頻繁に動かさない。手で口を覆うと主張が通りにくい
上記のような非言語(ノンバーバル)のパフォーマンスも意識すると、より効果的なアサーティブコミュニケーションが出来るので、意識してみてください。

アサーティブコミュニケーションのメリット
改めて、アサーティブコミュニケーションのメリットは・・・
自分の主張をはっきりと伝えられるので、自分に自信が持てること。
ストレスも軽減されるためメンタルヘルス対策にも効果的です。
そしてお互いに納得できる結論に落とし込めるため、建設的な会話ができます。
このような質の高い会話が出来ると、効率も上がり、成果も出てきます。
結果、チームがイキイキと動き出します。
職場、チームには色々なタイプのメンバーがいて、一人ひとり持っている個性、価値観は違います。
言い換えれば、その個性、価値観の数ほど、そのチームの武器、引き出しがあるということです。
その違う価値観を排除するのではなく、違い(=多様性)を豊かなものと認識し、生かす方法。
それがアサーティブコミュニケーションとも言えます。
多様性の豊かさをもっと楽しみ、活用できるようになりたいですね!

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