
「自分とタイプの違う上司と意見が合わなくて、伝えたい事が伝わらずに困っています」
先日、研修に伺った時にある方が話していました。
会社という組織で仕事をしていると色んなタイプのメンバーがいて、それぞれ持っている意見も様々です。
意見を言い過ぎたり、逆に飲み込んでしまったり。試行錯誤を繰り返しながら、意見を交わす…。
そんな経験、皆さんもあるのではないでしょうか?
このような時に役に立つコミュニケーションスキルが「アサーティブコミュニケーション」です。
今回と次回はこの「アサーティブコミュニケーション」についてご紹介していきます。
第1回目は、アサーティブコミュニケーションとは何か、そしてアサーティブな会話をするための4つのポイントをご紹介します。
アサーティブコミュニケーションとは
皆さん、「アサーション」という言葉を耳にした事はあるでしょうか。
アサーションとは、自分の気持ちや意見を、相手の気持ちも尊重しながら、誠実に率直にそして対等に表現するためのコミュニケーションスキルです。
もともとは、1970年代アメリカの人種差別における民権運動がきっかけとなり、相手を傷つけず、且つ、自分の主張をしっかりと行うコミュニケーションの定義として発展してきたものです。
現在の多様性の社会の中でも、お互いの考えや意見を聞き入れ、受け止めやすくするコミュニケーションスキルとして、とても注目されています。
アサーティブコミュニケーションのメリット
アサーティブコミュニケーションのメリットは、以下の3つが挙げられます。
1、自分の意見が言え、相手に伝わる事で自信が持てる
2、違う意見でも建設的な会話ができ、お互い納得できる結論が見つかる
3、違う意見を受け入れられる事で、視点が広がる
とても魅力的ではありませんか?
自己主張するだけではなく、相手の意見も大切にする。そして、双方が納得できる結論に着地できる。まさに今の多様性の時代に必要なスキルですね。
アサーションの目的は、自分の主張をする事ではありません。
相手が受け入れやすい表現で伝え「納得して受け入れてもらう事」です。
人は左脳で考える理論的な判断と、右脳で感じる情緒的な想いが合致した時に、納得して動くと言われています。
アサーティブコミュニケーションもこの両方を組み込んでいるため、相手が受け入れ易い交渉方法とも言えます。

アサーティブコミュニケーションは自分の主張傾向を知ることから
アサーティブコミュニケーションを身につけるためには、まずは自分の主張傾向を知ることが大切です。
自己主張のタイプは大きく3つに分かれています。
自分の主張タイプを知ることで、気をつけるべきポイントが見えてきます。
また、他のタイプの特長も知っておくと、スムーズなコミュニケーションへのヒントにもなります。
では早速見ていきましょう。
自己主張の3つのタイプ
●アグレッシブ(攻撃型/ジャイアンタイプ)
●ノン・アサーティブ(非主張型/のび太タイプ)
●アサーティブ(中立型/しずかちゃんタイプ)
皆さんはどのタイプでしょうか?
職場、家庭、友人といる時。それぞれでタイプが違うかもしれませんね。
アサーティブに話すための4つのポイント
次にアサーティブに話すための4つのポイントです。
1、「I」メッセージを使う
「あなたは」を主語にするのではなく、「私は」を主語にする
例:(あなたは)資料の提出が遅いですね→提出が早いと(私は)助かります
2、気持ちを伝える
「~助かります」「~安心します」「~困っています」
など、自分の気持ちを率直に表現します。
3、クッション言葉を挟む
「お手数ですが」「面倒お掛けしますが」「恐れ入りますが」等。
名前通り、クッションの役割を果たしてくれ、相手が受け入れやすくなります。
4、 肯定的な言葉を使う
「できません」→「厳しいのですが」
「わかりません」→「わかりかねるのですが」
否定的な言葉は、相手も無意識に防御する反応を抱いてしまうと言われています。
自己主張のタイプが、アグレッシブタイプの人は表現を柔らかくするために、ノン・アサーティブタイプのタイプの人は自分の意見を率直に伝えるために、自分の傾向を意識しながらこのポイントを行うと、より伝わりやすくなるでしょう。

会話の質が変わるアサーティブコミュニケーション
まずは、自分の主張傾向を意識しながら、4つのポイントを踏まえて伝えてみる事。
それだけでも相手が受け入れやすい表現になります。
以前、この表現方法を知ってから、言いたいことが言えるようになって、会話が劇的に変化し、ストレスが減った!と嬉しい報告をしてくれた受講者様がいらっしゃいました。
言いたいことが言えて、相手に受け入れてもらえる。
この経験が積み重なったその先は・・・?
目的がはっきりした会話となり、質の高いコミュニケーションが出来る事は間違いありませんね。
冒頭の話題のような事にお困りの方、メンバーにもっと気持ちよく動いて欲しいと考えているマネージャー・・・
是非お試しください。
次回は、より難しい主張を伝えて受け入れてもらう時の、効果的な話法をご紹介します。お楽しみに!
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